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Gibson Les Paul Classic 1995 Custom Shopを弦高調整してみる

 見事な程度で倉に秘蔵されていたギブソン レスポールクラシック 1995 カスタムショップをお借りしたのだが、張りのある音とは対照的に、何やら弾き辛かった。オーナーにご了解をいただいたので、ちょっと調整してみることにした。

 まずは現状の把握。3カポで、1フレットでの弦高(ナットの高さの目安)は1弦で0.05mm未満だが隙間あり、6弦で0.08mm。1カポと22フレット押弦の状態で、8フレットでの弦高(反りの程度)は、1弦で0.09mm、6弦で0.17mmと、順反りの程度はファクトリーセッティングより少ない。12フレットでの弦高は1弦で1.45mm、6弦で1.05mmと、あれまー1弦側でやや高い。これが弾きにくさの原因では。逆に、6弦側で異常に低いのにビビりがないのは、ネックがまっすぐな証拠。

 弦を緩めたりチューニングしたりを繰り返しながら、12フレットでの弦高を1弦で1.25mmまで下げ、6弦ではむしろ1.25mmまで上げてみる。順反りの不足から心配されるローポジションでの音詰まりはないまま、運指はかなり楽になった。ちなみにギブソンのファクトリーセッティングは1弦で約1.2-1.5mm、6弦で2.0-2.3mmなので、今回のセッティングは6弦側でまだまだかなり低め。オーナーの好みが弦高ベタベタ低めなので、まずはこれで。

 調整による変化は弾きやすさだけではなかった。驚いたことに弦のテンションが大幅に下がり、音量も下がり、生音は響きの豊かさが減り、ペシャペシャとした、やや鼻をつまんだような音色になった。ブリッジの高さを下げたのは1弦側だけで、6弦側ではむしろ上げたのに、だ。弾きやすくなったのは、弦高が低くなったことだけではなく、テンションが下がってピッキングがしやすくなったことにもよるようだ。

 ブリッジを下げれば、テールピースとブリッジとの高低差によるサドル上での弦の角度が減ってテンションは下がるし、弦高が高いほど押弦によってテンションが上がるのも理解できるが、これほどとは。

 半日ほど後にまた弾いてみると、音色は調整前寄りに多少戻っていた。こりゃまた。

 生音、弦のテンション、弾きやすさは、高音弦側のセッティング、特に弦高によって大きく影響を受けると理解した。どんなギターでも、弦高を下げていけば生音は相対的にショボくなるのだろう。

 ならば、エレクトリックギターなのだから開き直って、音はピックアップ、エフェクター、アンプ、マイキング、ミキシングなどに任せて、ギター本体については、狂いがなくできるだけまっすぐで調整もしやすいネックと、鳴りを殺さないブリッジ&ナット、そして演奏性についてプレーヤー個々が求める好みに合わせた形(スケール、重量、ネック形状などなど)を追求するってことではどうだろう。そして一方、良い出音を求めてボディの材質にこだわったりネックジョイントの方式にこだわったりするのはほどほどで。

 しかし逆に、速弾き/単音弾きでの演奏性が求められている現代のエレクトリックギターにおいては、より低い弦高、より低いテンションで張りのある音が得られるような、特段の構造的工夫が更に追求されるべきなのかもとも思う。ナットやブリッジの構造や材質、それらハードウェアとボディ・ネックとの接合方法、弦の振動を妨げないボディ・ネックの材質や構造など、様々な項目をすべて再検討して、それらについての細かな改良を積み重ねることで、ある程度達成できるかもしれない。この検討の中には、木にこだわらないボディ/ネックの材質、ハードウェアを金属以外に置き換える試み、また、前段落とは逆説的にネックジョイント方式も含まれるだろう。しかし、このような考えは、すでに世界中のギタークラフトマンによって星の数ほど試行されていて、もうあまり伸びしろはないのかもしれない。

 ちなみのこのギター、変態先輩のギターにしてはペグポストへの弦の巻き方が綺麗すぎる。さては・・こんな貴重なギターなのに入手してから弦交換してないな。そうだとすれば、やはり変態先輩、買って安心するタイプ(自称)、釣った魚に餌をやらないタイプ。
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ギターサウンド追求の旅には切りがないけど、今はZT Amp LunchBox Juniorに満足しています。

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